分筆による不動産相続で大きな節税効果が期待できる理由
所有する土地を二つに分けて相続すると、相続税を大きく節税できる可能性が出てきます。
ここでは、分筆による節税対策の方法と税務調査を見据えた注意点等についてご説明します。
分筆とは登記簿上で土地を2つに分けること
1つの土地を図面上で分割し、地番を1番1、1番2といったように分けることを分筆と言います。
分筆した土地はそのまま登記簿上に登録され、法務局の管理下に置かれます。図面上、法律上の分割になるため実際に土地の形状を変えるわけではありません。
道路に接する土地を持っている場合、土地を2つに分筆することで、道路に接する土地とそうではない土地の二種類を作り出すことができます。
一般的な土地は路線価により評価されるため、道路に接する土地は評価額が高くなり、もう一方の土地は評価額が低くなるため、分筆前と比べて全体的な評価額を減少させることが可能になります。
所有する土地が角地の場合は、角地を持つ土地と持たない土地に分筆します。すると角地のある土地は路線価が高くなりますが、もう一方の土地は評価額が低くなります。従ってトータルで考えると、分筆前と比べて全体的な評価額を抑えることができるようになります。
分筆のメリットは路線価を利用した評価減が期待できることにある
このように分筆による評価額の減少は相続税の負担を大きく減らせる可能性があります。
国税庁は全国の道路に対しそれぞれ路線価を設定しており、土地は路線価に基づいてその評価額を算出します。これを路線価方式と言います。
路線価方式では、道路に接する部分を持つ土地に路線価をかけて評価額を計算するので、1㎡5万円の路線価が設定されている道路に接する200㎡の土地を所有している場合、土地の評価額は200㎡×5万円=1000万円となります。
角地のように2つの道路に接している土地の場合は、2つの路線価のうち高い方を使って計算を行います。一方の路線価が3万円、もう一方の路線価が5万円で、それぞれ100㎡ずつ分筆したとすると、評価額は以下のように分けて考えることができます。
土地1 | 100㎡×3万円=評価額300万円 |
---|---|
土地2 | 100㎡×5万円=評価額500万円 |
土地1と土地2の評価額合計は800万円となり、これに対して課税されることになります。もし分筆を行わなかった場合、高い方の路線価である5万円が適用されるため、200㎡×5万円=評価額1000万円となり、分筆したケースに比べて200万円もの課税対象額の差が生じることがわかります。
税務署から「不合理分割」と見なされないような分筆を行うことが大事
分筆には大きな節税効果があることがわかりましたが、税務署から節税目的で分筆したと捉えられた場合、「不合理分割」と見なされ調査の対象となってしまいます。以下のような分筆の仕方には注意が必要です。
- 道路に接しない土地ができるような分筆
- 不自然に不整形地ができるような分筆
- 道路に接する幅が2m未満で建築基準法のルールに満たないような分筆
納税者としてはできる限り評価額を抑え節税したいという気持ちがあるものの、実際には「そこまでやってしまっていいのか」というグレーゾーンがあるのです。それを飛び越えると税務調査に引っかかってしまうことになります。
こういったケースを想定しながら、当事務所では連携する不動産鑑定士と相談しながら正確な不動産評価に努めています。広大地の場合も不動産鑑定士の意見書が必要となりますので、そのような場合でも力強くサポートすることが可能です。
納税者たる依頼者には税務調査のリスクについてよく説明し、安全圏で評価を進めるか調査覚悟で評価額減を優先させるかを決めてもらっています。依頼者の傾向としては調査覚悟でギリギリの評価を望んでいる方が多い印象ですが、そういう時は特例やマイナス要素を積極的に盛り込みながら評価を進めるようにしています。
節税効果の高い分筆を円滑に行うには、実務経験豊富な当事務所までご相談を
相続税にまつわる評価や税額計算は非常に専門性が高く、特に不動産については様々な要素が絡むため経験豊富な税理士に相談することが不可欠になります。
当事務所の税理士は33年の実務経験を持つだけでなく、弁護士・司法書士・ファイナンシャルプランナー・不動産鑑定士・社労士・行政書士と連携しているため、相続に関するあらゆる問題に対応することが可能です。
遺言作成や遺産分割協議なら弁護士、不動産の登記なら司法書士、保険や年金等の資産運用についてはファイナンシャルプランナー、不動産の有利な評価については不動産鑑定士との連携が、依頼者を強力にバックアップすることになります。
相続手続や分筆登記について相談及び依頼を検討する時は、大前提となる相続手続き全般について間違いが起こらないよう、まず税理士に相談し、連携する司法書士や不動産鑑定士の力を借りるようにしましょう。
相続でどのようなことが起きるのかあらゆるケースを把握している当事務所の税理士は、依頼者に最も有利なプランを提案することができます。
下記ページでは、不動産による節税をより効果的なものにするためのポイントをわかりやすく説明しております。併せてご覧ください。