相続税を払いすぎた!相続税の還付を受ける方法について

もしかしたら、相続税を支払いすぎてしまったかもしれない…。相続税は、大きな金額にのぼるため、ショックもひとしおです。

でも大丈夫、減額更正の請求を行えば、税金を還付してもらうことができます

ただし、請求を行うためには事実を証明する書類の提出が必要です。また、万が一虚偽の申請をすると、罰則があります。一度行った申告の、どこが間違っていたのか、しっかり確認してから請求を行いましょう。

払いすぎた相続税は更正の請求で取り戻そう

相続税を払いすぎていることに気がついたら

相続財産の価値評価は、どのような方法を用いるかによって差がでます。また、各種優遇措置を使用するのとしないのでは、大きく課税額が異なってきます。もちろん、相続財産の評価額を低く抑え、使用できる優遇措置のうち最も有利なものを利用していれば、相続税を払いすぎてしまうことはないでしょう。

しかし、相続税は、被相続人が亡くなったことを知った翌日から10カ月以内に、申告と納税を済ませる必要があります。その期間の間に、節税を考えた正しい申告を行うのは、それほど容易なことではありません。

そのため、申告書を提出した後で、相続税を多く払いすぎたことに気が付く人もいます。そんなとき、「更正の請求」という手続きによって、すでに行った申告手続きの訂正を求めることができます。

更正請求と還付申告の違い

申告を行った後に、計算違いなど、申告内容の間違いに気がつき行うのが、「更正の請求」です。納める税金が多すぎた場合だけでなく、納める税金が少なすぎたり、還付される税金を多く受け取りすぎたり、といった場合にも更正の請求を行います。

これに対して、確定申告をする義務のない人が申告をして、納め過ぎた税の還付を受けることを「還付申告」といいます。みなさんも、住宅ローンがある、多額の医療費を支払った、ふるさと納税をした、といった場合に還付申告を行った経験があるかもしれません。

相続を払いすぎた時は、すでに行った申告を訂正する「減額更正の請求」を行うことになります。減額更正の請求と還付申告は、払いすぎた税金が還付されるという点は共通しています。

税金が還付される更正請求の申告期限

相続税の更正請求の申告期限は5年以内

平成23年度の税制改正により、それまで1年だった相続税の更正請求の期間が5年間に延長されました。23年度以降、相続税以外の更正請求の期間も延長されています。贈与税は6年(改正前:1年)、自動車重量税を納付した後車検査証の交付等を受けることをやめたような場合は5年(改正前:1年)、更正の請求ができます。

特別な事由での更正請求は4カ月以内

原則的には、更正請求は申告期限から5年以内であれば行えます。ただし、特別な事由に基づく場合、その事由が生じてから4カ月以内が期限となります。

例えば、遺産分割前にいったん相続税の申告・納税をしたものの、実際に遺産分割を行うと、申告した税額が多すぎた、といった事例です、この場合、実際に分割を行い税額が多くなってしまった時から4カ月以内に、更正請求を行わなくてはいけません。

更正の請求の必要書類

更正の請求を行う場合、申告書とともに更正の請求の理由を示す「事実を証明する書類」の添付が必要です。そのため、事実を証明する書類の作成費用に対して還付される税額が十分大きいか、なども考慮する必要があります。

税務署では、事実を証明する書類をもとに、更正請求の妥当性を検討し、疑念があれば調査を行うことがあります。また、更正の請求書に偽りを記載して提出することは、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則の対象行為です。もちろん故意に偽りを記載するのは許されませんが、うっかり間違えないよう、正確な知識を元に正しい請求を心がけましょう。

不動産の評価や優遇措置を見直して相続税を還付してもらう

申請は納税者が責任を持って行うもの

相続税を支払いすぎたりしてしまう原因の多くは、相続財産の評価方法を間違えたり、優遇措置の使い忘れです。優遇措置が使えるのが明らかでも、税務署が必ずそれを指摘してくれるとは限りません。なぜなら、納税者自身が申告を正しく行う義務を負っており、税務署はそれを受け取るだけの立場、というのが原則だからです。

なかでも不動産は、評価の幅が大きく、優遇措置も多いため、更正請求の対象となることが多くなっています。そんな不動産の、評価や優遇措置について確認してみましょう。

賃貸物件用建物や土地は2~3割引

アパートや貸家など、賃貸用の建物や土地は、一般の不動産に比べ評価額が割り引かれます。減額割合は、建物で約30%、土地は約20%です。一般的に2,000万円と評価を受ける土地と、1,500万円の評価を受ける建物が賃貸アパートなら、土地は約1,600万円、建物は約1,050万円の評価額になります。

形の悪い土地は評価額が低くなる

土地は同じ面積でも、形状によって評価額が異なってきます。形の良い土地の評価額を100とすると、条件の悪い土地の評価額は70といった具合です。土地評価額の減額は、定められている補正率を使って行います。

条件の悪い土地とは、形状が四角形でない、道路に面する幅が狭い、道に面していない、といったものです。大まかな目安ですが、一般的な土地を1とすると、角地の補正率は1.01~1.1、2方向に道路がついている土地は補正率が1.02~1.07と、高くなります。これに対して、不整形地の補正率は0.6~1.0、奥行が極端に長い土地の補正率は0.72~1.0と低くなります。

自ら形状の悪い土地を作って評価額を下げることができる?

1つの土地として登記されている土地を、2つ以上に分けることを分筆といいます。この分筆を上手に使えば、評価額を下げることができるかもしれません。

例えば、評価の高い2方向に道路が付いている土地を、道路1つずつの2つに分筆する、角地の土地を、角地と角地でない土地の2つに分筆するといった方法です。さらには、不整形に分筆したり、道路に面していない土地を作るよう分筆したり、といった節税方法が提唱されることもあります。

ただし、土地形状による評価額や補正率は、一定ではないため税務署に主張が認められない可能性もあります。税務署への説明などを含め、専門家のアドバイスを受けて、分筆方法を考えたほうがいいでしょう。

広大地の評価減特例が改正

広すぎる土地も、評価額が低く算定されます。しかし、平成30年1月1日の税制改革により、以前ほど評価額が低くはならない土地が増加しました。また、以前は広さのだけであった要件を修正し、形状・面積に基づき評価する方法に見直しました。

これにより、条件の良い広大地は税額の増加が予想されます。反対に、今まで広大地と認められなかった土地が、条件によっては広大地と認められるケースもあります。

この例に限らず、税制は変化するので、常に最新の情報を確認し対策を考えることを忘れないでください。

減税インパクトの大きい小規模宅地等の減額特例

相続人が配偶者、同居の親族など、一定の条件を満たせば、自宅の土地の相続評価が80%割り引かれる小規模宅地等の減額特例。減税率がとても高いため、適用可能なら必ず使いたい相続対策の制度です。詳しくは、下記ページにてわかりやすく解説しておりますので是非ご覧ください。

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