相続税は現金でしか払えない?相続税の納付方法について

相続税に限らず、税金は金銭の一括払いで支払うのが原則です。ですから、相続税も現金での支払いを行います。

ただ、相続税は他の税金より納税額が高額になることがある税金です。そのため、特例として「延納」と呼ばれる分割払いや、現金の代わりに物で税金を納める「物納」が認められています。今回は、そんな相続税を支払う場所や支払い期限、納付書の作成などについて、整理してみました。

相続税は税務署の窓口や金融機関などで支払う

取得財産の認定方法

相続税の申告と納税は、相続又は遺贈により取得した財産が、基礎控除を超える場合に必要になります。取得財産の認定は、被相続人死亡時ですが、死亡前3年以内の贈与も含まれます。たとえば、被相続人の死亡前3年以内に被相続人から土地を贈与されていた、といった事情があれば、相続又は遺贈により取得した財産に加えて計算することが必要です。

基礎控除額の計算方法

基礎控除の額は、法定相続人の数によって異なり、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で求めることができます。つまり、配偶者と子ども1人の2人が法定相続人なら4200万円、子どもが2人と配偶者の3人が法定相続人なら4800万円が基礎控除額です。配偶者と子ども2人の場合、4800万円を超える財産が残されていれば、相続税の申告や納税が必要になります。残された財産が、基礎控除額の範囲内であれば、相続税納税はもちろん、申告も必要ありません。

相続税の納付場所は被相続人の所轄税務署

税金の納付場所は、所轄税務署です。被相続人の死亡の時における住所が日本国内にある場合は、被相続人の住所地を所轄する税務署が所轄税務署となります。財産を取得した相続人などの住所の所轄税務署ではないので、間違えないようにしてください。また、銀行、郵便局など最寄りの金融機関で税金を納付することもできます。納付場所に用意してある納付書に、住所、氏名、税額、申告書を提出した税務署名などを記入し、金銭とともに納税窓口で支払いを行います。

相続税は専用サイトでクレジットカード払いも可能

相続税だけでなく、多くの国税はクレジットカードで支払うことも可能です。金融機関などの窓口では取り扱いがないため、クレジットカード納付専用のサイト、「国税クレジットカードお支払サイト」を利用します。夜間休日を問わず、24時間いつでも利用が可能な便利な方法ですが、いくつか注意が必要です。

国税クレジットカードお支払いサイトの注意事項

まず、支払サイトで納付手続が完了後は、手続の取消しや、納税の猶予等を受けることはできなくなります。領収証書は発行されませんが、納付済の納税証明書の発行は、3週間程度経てば可能となります。また、最初の1万円までは76円(消費税別)、以後1万円を超えるごとに76円(消費税別) の決済手数料がかかります。この決済手数料は、国の収入になるのではなく、納付受託者である民間会社の収益となります。

カードの決済可能額の範囲内であれば支払い可能

国税クレジットカードお支払サイトで1回に決済できる金額は、1,000万円未満、かつ、利用するクレジットカードの決済可能額以下の金額となっています。クレジットカードの決済可能額であれば、1000万円以上の納付も、カードでの決済手続を複数回行うことで納付できます。

e-Taxのサイトから電子納税・インターネットバンキング

また、国税庁のサイト「e-Tax」 を利用し、自宅や事務所などから電子納税を行うことも可能です。あらかじめ納付情報登録を行っておけば、届出をした預貯金口座から、即時又は期日を指定して納付することができます。e-Taxで納付情報登録を行ってない人も、このサイトを通じてインターネットバンキングでの納付をすることも可能です。

納付期限は10ヶ月

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことになっています。例えば、2月8日に死亡した場合にはその年の12月8日が申告期限です。申告期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たるときは、その翌日が期限となります。

10ヶ月というのは、思った以上に短い時間です。残された家族の事を思うなら、財産の整理。財産のリスト化、財産の分け方を指定しておく、などの準備を生前に始めておくのがベストです。資産が自宅だけしかない、といった場合、評価額を減らす対策を考えるとともに、どのような分け方をすれば皆が納得するか考えておくとよいでしょう。

納付書を作成し、相続人ごとに納付する

相続の発生後、6~8ヶ月経つと、多くの場合税務署から相続税の申告書や納付書が、送付されてきます。送付されてこないが申告・納税が必要な場合や、早く申告書を入手したい場合、税務署に連絡して手に入れましょう。

相続申告書には、被相続人の生命保険、退職手当などとともに相続税がかかる財産の明細書を添付し、相続税のかかる財産(課税財産)と被相続人の債務等を記入します。そこから控除される税額を計算し、相続税の総額を算出していきます。ここでは詳細を割愛しますが、所得税の申告書などに比べると、記載しなければならない事項がかなり多く、各種の資料を添付する必要があります。相続税の申告書を作成するには、かなりの労力がかかると思っておいてください。

申告書には、相続税の総額を計算するとともに、各相続人の納付すべき相続税額も記載されます。その金額を元に、相続税の納付書を作成し、各相続人が納付を行います。申告書の提出先は、被相続人の住所地を所轄する税務署で、納付場所も同じです。ただ、最初に説明したとおり、金融機関やネットでの支払いも可能ですので、被相続人の居住地から離れて暮らしている相続人も特に不便はないでしょう。

もし納付が遅れてしまった場合は追徴税(ペナルティ)が発生する

もし納付が定められた期限に遅れた場合には、延滞税を相続税に加えて支払う必要があります。

延滞税の割合は、納期限の翌日から2月を経過する日までの場合、「年7.3%、または特例基準割合(※)+1%のいずれか低い割合」となります。納期限の翌日から2月を経過した日以後は、「年14.6または特例基準割合(※)+7.3%のいずれか低い割合」となります。
※特例基準割合:銀行の新規の短期貸出約定平均金利に、年1%の割合を加算した割合

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