相続税は脱税してもバレない?税務署のチェック方法と重いペナルティ

近年の税制改正により、以前は相続税がかからなかった人にも課税される事例が増加しています。以前に比べ少ない相続額でも相続税の対象となる、多くの人が相続税と関わるようになった今、「たくさんの相続税を支払いたくないな」と誰しも思うでしょう。

もちろん、正しい方法での節税や相続税対策は、大いに考えるべきです。ただ万が一、「税金をごまかしてやろう」「脱税してやろう」などと考えているなら、絶対にやめましょう。税務署はそんな工作をかんたんに見抜き、正規に相続税を支払うより、多くの税金を支払うことになってしまいます。相続税に限らず税金に対する下手な小細工は、「労多くして功少なし」と肝に銘じておくべきです。

相続税の過少申告・無申告は要注意

相続税を、少なく申告したり、申告自体をしなかったり、世の中には軽い気持ちでそんな行為をしてしまう人がいます。しかし、相続税の過少申告や脱税を行うことは、けっして許されることではありません。

2015年の相続税の実質アップにより、相続税を支払わなくてはならない人が増えています。しかし、相続税について詳しく理解している人はほとんどいないでしょう。それは、所得税のように毎年支払う税とは異なり、相続は単発的に発生する税金だからです。そのうえ、税金の制度は次々と変化していきます。またたとえ、相続税の基本を理解していたとしても、複雑な手続きや期限の制限などからうっかり間違えてしまうこともあります。ですから、相続税は誰でも過少申告や無申告といった失敗を、犯してしまう可能性のある税金です。

過少申告や無申告でも正当な理由があれば許される可能性あり

相続税や贈与税を少なく申告したり、申告をしないままでいると、「過少申告加算税」または「無申告加算税」が課税されることになります。本来申告すべき額より申告額が少ない過少申告税の場合、不足額の10~15%が加算されます。

過少申告より、ペナルティがきつくなるのが無申告です。申告額期限内に申告書の提出がなく、無申告とみなされると、15~20%が加算されます。過去5年内に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがあるときは、さらに重いペナルティが課されるので注意が必要です。無申告加算税に10%加算された額、つまり25~30%割増された額が課税されることになります。

不注意で過少申告や無申告を行った場合、10~30%の加算がされますが、悪質と認定されるとより加算額が増えます。悪質な相続税隠しの場合、申告書を提出していたら35%、提出していないと40%の重加算税が課せられます。

過少申告や無申告でも、「正当な理由がある」と認められれば、税の加算はされません。とはいえ、正当な理由があると認められる場合はほとんどないと思ってください。たとえば、無申告でも正当な理由があると認められるのは、「災害、交通・通信の途絶」といった誰が見ても期限内に申告書を提出するのが難しい場合に限られています。ちなみに、「相続税の申告が必要な事例とは知らなかった」「相続税の解釈を間違っていた」といった、法律の不知や誤解又は事実誤認は、正当な理由とは認められません。

税務署は相続発生前の預金引き出しもチェックしている

被相続人が亡くなると、相続人間での話し合いがまとまり分配されるまで、勝手に財産を処分することはできなくなります。これは、預貯金や証券など、金融資産についても同じです。後から相続争いのトラブルが起こらないよう、基本的には故人の預貯金などは引き出すことができません。

故人の生前の入院費、葬儀などにかかる費用などは、相続財産に含めなくてもよいとされています。ですから、入院費などを故人の資産から支払うことに問題はありません。とはいえ、被相続人の死亡後は、預貯金を引き出すことは難しいため、事前に現金を引き出しておくことがあります。そのような場合、きちんと申告さえすれば、何の問題もありません。

ところが中には、相続発生前の預貯金の引き出しは申告をしなくてもいいだろう、と考える人がいます。しかし、税務署は相続発生前の預貯金の引き出しといったお金の流れもチェックしています

被相続人が死亡した3年前の日から死亡の日までの間に、贈与を受けた財産があるときには、相続税の課税価格に贈与を受けた財産の価額を加算する必要があります。また、被相続人の死亡後銀行口座が凍結されることを知っている相続人らが、急いで現金を引き出そうとするのはよくある事例です。ですから、税務署が金銭の流れをつかもうと調査する場合、死亡する3年前からの金銭の動きを必ずチェックすると思っておきましょう。

税務署の調査能力は計り知れない

税務署に相続税の申告書が提出されると、調査対象に選定する必要があるか否か、書類上のチェックが行われます。選定方法の例のひとつに、亡くなった方の所得税などの収入の申告書を利用する方法があります。

相続税がかかる場合、生前それなりに収入があるのが一般的です。その人の収入を得ていた期間や金額からおおよその蓄財金額を割り出し、相続財産として申告されたものと比較します。土地の購入、建物の建築、高額な売買、など大きな支出についても併せて検討し、収入に見合った申告がなされていなければ、さらに詳しい調査が必要と判断されます。銀行や証券会社に財産を照会する場合、本人分だけでなく配偶者や子などの名義の預貯金や株式なども調査されます。

実際に現地に出かけ、相続人から話を聞く税務署の職員は、相続の部署で経験を積んでいるスペシャリストです。税務署の調査は、国税局が行う査察調査とは違い任意の調査です。ですから、相続人の了解なく勝手に家の中を見るようなことはできません。しかし、そこで非協力的な態度を見せると、「相続人が不自然な態度をとるのは、やましいところがあるからだ」との心証を調査員に抱かせることになってしまいます。

調査員への協力を拒むことによってその場を乗り越えられたとしても、後日さらに詳しい調査が行われ、結局事実が明らかになってしまいます。税務署の調査員に、イヤミや脅迫まがいの言葉を発する人もいるそうです。ただ、そういった行為は逆効果にしかなりません。税務職員は慣れているので、その場では平然と受け流しますが、「徹底的に調査してやろう」と心の中では思っています。調査員の質問には素直に答え、提出するように言われた資料などは自主的に差し出すのが得策と覚えておいてください。

相続税でお困りの際は専門家に相談を

相続税の申告や支払いにお困りの際はなるべく早い段階で専門家に相談しましょう。相続発生後であっても可能な節税方法や、専門家にしかわからない対応方法が多々あります。
当事務所では、そういった方のために無料相談を行っております。渋谷駅徒歩3分の事務所にて、相続税申告実績30年超の税理士がお話をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

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