相続の遺産分割がまとまらない!調停の流れと審理期間

被相続人が亡くなったとき、遺産の分割についてスムーズに話がまとまればいいのですが、残念ながらそうでないこともあります。

相続人の間で話合っても、平行線となりお互いが納得できる状況にはとてもなりそうにない…。こんな時の解決策として、家庭裁判所で行う遺産分割の調停・審判といった方法があります。

「遺産分割調停」または「遺産分割審判」による解決

遺産分割では、相続人同士の争いが起こることも少なくありません。遺産の分け方を指定した遺言があれば争いの可能性は低下しますが、異なる割合の分割も可能なため絶対とはいえません。遺言書がなく、相続人同士で分け方を話し合う協議分割なら、なおさらです。

自分たちだけで話し合っていたのでは、協議分割が上手くいかない。そんな時には、家庭裁判所の力を借りて解決する方法があります。それは、「遺産分割の調停」または「遺産分割審判」という2つの手続きで、いずれを利用するかは相続人の自由です。

大まかに言えば、調停は裁判所の手助けしてもらい、当事者同士が話し合い自主的な解決を目指す、インフォーマルな手続きです。なお、遺産分割調停が不成立になると、自動的に審判手続が開始されます。

これに対して審判は、一部手続きが簡略化されていますが、一般の裁判に類似した手続きです。当事者ではなく、裁判官が提出された書類や種々の資料に基づき判断し、決定を行います。最初から審判を申し込めますが、話し合いで解決したほうが良い事案だと判断すされると、まず遺産分割調停での解決がはかられます。

遺産分割調停とは、調停委員を交えて遺産分割の合意を目指すもの

調停手続では、調停委員会が当事者の間に入り、双方から事情を聴きながらお互いに納得のいく解決方法を探っていきます。調停委員会のメンバーは、裁判官1人と、一般市民社会の良識を調停に反映させるため選ばれた、調停委員2人以上で構成されています。

調停委員は、原則として40歳以上70歳未満で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士などの専門家のほか、地域社会に密着して幅広く活動してきた人などが選ばれています。遺産分割調停では、各親族の立場や気持ちを理解するため、なるべく男女1人ずつの調停委員を指定するといった配慮もされています。

具体的な調停の進め方としては、調停委員会が相続人に対して遺産の内容や各自の状況、分割方法の希望などを聞き、事情を把握します。そのうえで、解決に必要な資料の提出を求めたり、必要な鑑定を行ったり、各相続人に質問を行ったりなどして、皆が納得できる解決を目指していきます。調停委員会は、各自の知識を生かしながら解決のために必要な助言をしたり、解決案を提示したりして、話合いの手助けをします。

調停では当事者の一方から話を聞く間、他の人は別室で待機してもらい、交互に話をするスタイルが一般的です。ただ、1回の調停の時間は2時間程度となっているので、事案によっては、当事者全員一緒に話をする場合もあります。当事者は、限られた時間の中で効率的に進めるためにも、まとめて要領よく話せるよう準備し、内容が複雑な時は分かりやすく書面に書き、それに関する資料も併せて提出する必要があります。

調停では「相続人の1人が遺産の一部を隠しているのでは?」といった問題があった場合でも、裁判所に直接なんらかの調査などしてもらうことはできません。このような調査や資料の提出は、あくまで当事者である各相続人の責任で行う必要があり、それを元に話し合いが行われていきます。
 

決着までの審理期間は平均1年弱

遺産分割調停手続は、1人もしくは何人かの相続人が、他の相続人全員を相手方として、家庭裁判所に申し立てることによって始まります。申立てに必要な費用は、「被相続人1人につき収入印紙1200円分」と連絡用の郵便切手代です。

必要な書類は、遺産分割調停の申立書の他、被相続人の戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本と住民票又は戸籍附票、 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書,預貯金通帳の写し又は残高証明書,有価証券写し等)など多数になります。

調停手続を申し立てる家庭裁判所は、「相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所」です。相続人同士は、今後も人間関係が続いていく間柄ですし、調停に関係者全員が出席しないと不調となり、話し合いを行うこともできません。遺産分割の話し合いをスムーズ進めたいと考えるなら、皆が出席しやすい場所にある家庭裁判所を選ぶのが良いでしょう。

調停の申し立てが行われると、調停期日の通知が相続人全員に送られてきます。第1回調停期日は、通常申し立てから1カ月程度先になり、その後1~2カ月に1回のペースで調停が開かれ、問題が解決するまで調停期日を重ねていきます。調停では1人でも反対する人がいると合意にはならないので、相続人全員が合意する調停成立か、当事者が出席しないため話し合いができない、これ以上話し合っても合意に至らないだろうといった理由から調停不成立となるまで続けられます。

遺産分割調停は、早ければ数回で結論がでることもありますが、何度も調停期日が設けられることもあります。期間にすると1年以上調停が続くことも3割程度あり、平均すると1年弱の時間がかかるといわれています。

調停でもまとまらなければ遺産分割審判へ

調停で合意が成立すると、合意事項を書面にして調停は終了します。調停は、相続人同士の自主的な話し合いですが、作成された合意書面は確定した審判と同じく、法的拘束力があることも覚えておきましょう。

話合いがまとまらない場合は、調停は不成立として終了し、家庭裁判所による遺産分割審判手続きが開始されます。審判は、裁判所が、当事者から提出された資料や事実を調査した結果に基づいて、強制力を持った最終的な判断を下す手続きです。

遺産分割をするには、相続人が誰か、何が相続財産となっているか、有効な遺言があるか、といった前提条件が確定している必要があります。そのため、これらに争いがある場合、訴訟で解決してから審判を始めなければなりません。

遺産分割審判では、前提条件の訴訟や事実関係の認定が難しい場合、期間が長引きがちです。遺産分割審判での分割方法ですが、遺産に属する物または権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況、など種々の事情を考慮して行われます。

遺産分割審判で下された決定に不服がある場合、2週間以内に不服の申立てを行うことができ、不服が認められれば高等裁判所で再審理が行われます。

遺産分割協議がまとまらない際は早めに専門家に相談を

ここまで説明してきた通り、スムーズな調停を進めるのであれば専門家のサポートが必要不可欠です。
当事務所では必要に応じて他士業と連携を行い、徹底したお客様のサポートを行っております。些細なことでも構いませんので、相続についてわからないことや、不安なことがございましたらまずはお気軽にご相談ください。

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