不動産の評価方法と節税への活かし方
預貯金等の金融資産はその価値が誰でもわかるものですが、相続における不動産の評価は複雑な要素が絡むため難解な面もあります。
ここでは、主に路線価を利用した不動産の評価方法と当事務所における不動産の節税対策例についてご説明します。
不動産を評価するための4段階要素
相続財産の70%を占めるのが不動産であるため、相続税の計算をするためには不動産の評価額について知っておく必要があります。
評価は以下の要素に基づき4段階で行われます。
実勢価格
公正な市場において不動産売買の当事者間で取引される価格。
公示価格
地価公示法に基づいて国土交通省が公示したもの。土地鑑定委員会により調査され官報に記載されるが、
その価格は実勢価格とほぼ同一である。
相続税評価額
路線価方式と倍率方式のいずれかにより、土地に接する道路に付く価格。
公示価格の80%程度になることが多い。
固定資産税評価額
固定資産税を課税するために市町村が独自に土地を評価した価格。
公示価格の70%程度になることが多い。
路線価による土地評価の基礎
固定資産税の通知書には保有する土地の地積が掲載されており、国税庁の路線価検索ページで確認することで評価額を算出することができます。
路線価検索ページに掲載されている地図は、道路一本一本まで表示される非常に詳細なものであるため、計算は比較的容易です。
各道路には数字とアルファベットが記載されており、例えば「180D」と書いてある場合は、その道路に面した土地が1㎡あたり18万円であることを示しています。この単価に対し、事前に確認しておいた保有地の地積をかけるとおよその土地の評価額を算出することができます。
ただし土地の評価額は、広大すぎたり整形されたりしていない場合、大きく減額されることがあるため、税理士は依頼者の希望を踏まえて減額処理を進めることになります。この辺りは税理士の腕が問われるところとなります。
参考リンク:財産評価基準|国税庁
都心部で賃貸マンション経営をしている人は節税できる可能性が高い
借り入れをしてマンションを貸したり、数部屋を保持していたりするケースでは、かなりの節税効果が期待できます。
例えば、相続税対策として資金を借り入れて都心部の雑居ビルを購入した場合、借入金は債務控除することができ、ビルの建物評価はそのまま固定資産税評価額で計算されます。
繁華街における固定資産税評価額は、実勢価格と固定資産税評価額でかなりの差が生まれるため、ビルの売買に1〜2億かかっていたとしても、固定資産税評価額では3000〜4000万円として評価され、大きな節税対策となります。
当事務所における不動産評価に対する施策
当事務所では、必ず現地確認に赴きマイナス要素を徹底的に洗い出すようにしています。
現場に足を運ぶのはもちろんのこと、図面等の資料の有無を確認し、不整形地の可能性を探り、どのような用途で使っていた土地なのかもヒアリングします。
最近は、Google Mapを使えば現地に行かなくても確認できるようになってきていますが、どういう接道になっているのか、どういう道を利用しているのかで評価は変わってくるため、実際の現地確認は欠かせません。このように、マイナス要因を探せるか探せないかによって大きく評価は変わってきます。
また、当事務所は不動産鑑定士とも連携していることから、土地の利用制限についてなど役所に行ってもわからないようなことでも調べることが可能なので、土地の評価額を下げる際に大きな強みの一つとなっています。
ただし、不動産評価をギリギリまで低くすると税務調査が入る確率は上がります。判断の難しいグレーゾーンを超えた低評価を行ってしまうと、税務調査に引っかかってしまう可能性が出てくるのです。
このため当事務所では、専門の不動産鑑定士と相談しながら正確に不動産を評価するよう努めています。広大地の適用には不動産鑑定士の意見書が必要となるため、そのようなケースにも対応可能です。
納税者たる依頼者にはリスクの説明をした上で、安全圏で評価を進めるか調査覚悟でギリギリの評価申告をするかを決めてもらっています。
納税者の傾向としては調査覚悟でギリギリの評価を望んでいる方が多い印象ですが、このような場合は特例やマイナス要素を積極的に盛り込みながら評価を進めることになります。
税理士の腕が最も発揮されるのは不整形地の評価減額が必要な時
正方形や長方形のような簡単な地形は計算も評価もシンプルかつ明快ですが、地形が複雑になるほど、不整形地としてどれくらい評価減額できるか税理士の腕が問われてきます。
また、一見四角い土地に見えても、土地内で用途が異なる建物が建っている場合、一方の建物が建っている土地の方が不整形地になっていることがあります。
この場合は別個の評価をしなければなりませんが、税理士として場数を踏んでいれば減額要素のイメージが描きやすくなります。
不動産評価が絡まない相続はほとんどありません。経験の差が明らかに影響する不動産評価を安心して行うためにも、33年の実務経験を持つ税理士がいる当事務所までぜひご相談ください。